編み物

 火曜日の午後にシャーリーから泣きの留守電が入った。金曜日の撮影に間に合わないので手伝って欲しいとの事。彼女はいつもプロジェクトを抱えているのでなんのだろうと思ったら、断ったと思っていたヴォーグのカーディガン。フェアアィルで火曜日の時点で前身ごろと後身頃が編みあがって、袖を編み始めたところ!!あと3日しかないじゃない!!
仕事から戻って急いでシャワーを浴びて「行くよー」電話したら、旦那様が出て今ちょっと出たところとの事、「後で電話するように伝えますか?」と言われたので「これから出ますと伝えてください」と言って、アパートを出てバスに乗った。上手い具合にすぐ急行バスが来たのだ。急行バスで五つ目、降りて2ブロック歩いて彼女のところへ着いたのが7時半ころ。お食事中でした。おまけに彼女は私が来ると思っていなかったので、私に渡すものを用意していない。お食事途中ですぐに打ち合わせ、毛糸を貰って帰ろうと思ったらチャートのコピーがない、これがないと急ぎの編みは出来ない。二人でコピーやへ、ありがたい混んでいない。コピーを貰ってお店を出たら雨が降り始めた。シャーリィーは私に$10握らせて「タクシーで帰ってね。」雨の日はタクシーは捕まらない、地下鉄で帰る。イースト・ビレッジに着いたら8時半。うちに戻って夕飯をかっこんだら9時。ウーム、何時まで編めるかな、パターンとチャートを眺め色を確認して編み始める。
しかしこんな事がありえるのね、シャーリーが袖口を編み始めて、それをそのまま私に渡して「とにかく形にして、10段でも20段でも良いわ。明日の朝6時に取りに行くから。」色は6色、パターンによってそれぞれの色が表編みからはじまったり裏編みから始まったり。横に渡る糸は3目ごとに編みくるむ。途中彼女から電話で明日の夕方私が仕事から帰ってきたら受け取るとの事。
頑張って12時まで編みました。たった18段。次の日水曜日の仕事に行く途中地下鉄のホーム、地下鉄の中、バスの中、仕事場の休憩時間編みました。間違うんだよな、白と水色と薄いグレーの差が濃い色と編んでるとわかんないのだ。確認してるのに間違う。夕方また彼女から電話、「明日の朝にしましょう。」おー今晩編めるぞ、実はこの日は私の誕生日、夕飯に予定が入っている。よーし両方やってやるぞと、ゆっくりと誕生日ディナーを楽しみ、でもアルコールは控えて、うちに帰ったのが10時半。パジャマに着替えてから編み始める、間違うんだな、あせっているからだぞっと自分に言い聞かせて、ほどいたり編んだりを繰り返す。11時半,ステッチが見えなくなってきたので潔く止めて寝る。
木曜日5時に起床、シャワーを浴びてから髪の毛が乾くまで、またまた編み編み。
6時5分に待ち合わせ場所に行ったら、もうすでにシャリーがいた。半乾きの髪の毛の私に比べて彼女はちゃんとお化粧までして、きっちりしてる。さすがに疲れた顔してるなー。
そこで仕事が終わってから糸の始末に来て欲しいとの事。「良いですよ。」と返事して仕事に向かう。
5時半、シャーりから留守電。「今ヴォーグなんだけれど、どう頑張っても金曜日の4時の撮影に間に合わないので、カーディガンからベストに変更したの。だから袖がいらなくなったわ、糸始末は私一人で出来るから来なくっても良いわよ。」そんなことって在り!?
ほっとするやら、なりふり構わず編んでいた私が可笑しいやらで、一人でニヤニヤ。
写真は保障付きでボツになった袖の一部。